今年で4回目となる「歯と食育に関する自由研究コンクール」表彰式が、11月11日に
県歯科医師会館にて行われました。これは福井市小学校の5年生6年生を対象に夏休みの期間中に、「歯や食に関する自由研究」を行ってもらい、その研究の成果を四つ切画用紙にまとめて応募してもらう企画です。
今 年の作品の中で特に優れていた5年生優秀賞作品は、頑丈と思われている歯が、いかに酸には弱いのかを研究した作品です。抜け落ちた乳歯をレモンジュース、 コーラ、黒酢等に漬けると、歯が溶け始めます。歯が溶ける様子を実験し、5日目には、どれだけ歯が小さくなっているかをノギスで測り、光沢はなくなってい ないか、表面が粗造になり、ひび割れを起こしていないかを観察し、写真入りで発表した作品です。この作品の良いところは、抜け落ちた乳歯をカバーガラス上 にシリコンコーティング材でつけ、象牙質を覆ってしまい、口の中に歯がはえているのと同じ状態で酸に浸してある点です。また、比較対照として酢酸も使用 し、PHメーターでジュースやコーラや酢酸のPHを測っている点です。しかも、食事をすると口の中の唾液のPHが時間とともにどのように変化していくかを 示すステファンカーブのグラフ上で、歯が溶け始める臨界PH5.5のところに線をひき、この線を下回るPHになると歯が溶けていくことを述べています。一 般的に飲まれているジュース、コーラはPH 2.5~3.0ですから、口腔内がいかに強い酸性状態にあり、歯が溶けるかを示しています。もちろん唾液には 酸を希釈する作用、唾液のPHを中性に戻そうとする緩衝作用があり、口の中がこの実験のように長時間酸性状態に保たれることはないのですが、それでもだら だらと間食し、ジュース、コーラを摂っていることで、どれだけ歯に悪影響を与えるかを説明し、警鐘を鳴らしています。
6年の優秀賞作品はキシリ トールの有効性に的を絞って調べてありました。キシリトールは虫歯になりにくくすることに優れていますが、キシリトールを取り入れるだけでなく、歯みがき を正しく行うこと、フッソを利用することが大事であり、キシリトールへの過信は禁物であると述べています。
5年の準優勝作品は虫歯になるメカニズム、各食品に含まれる砂糖量、歯みがきをするときの有効なポイントなどを多角的に調べ、啓蒙新聞のようにまとめてある点が優れており、今回の受賞作品に選びました。
6年の準優秀賞作品は歯みがきの仕方を研究し、歯みがきをするときに、上の歯下の歯、前歯奥歯、表側裏側にわけてどのようなことを注意して歯みがきすれば 良いのかを調べており、また歯の質を作るのに必要な栄養素を多く含む食品や、砂糖を多く含み、しかも粘着性で口の中にとどまり虫歯になりやすい食品などを すべてイラストでまとめた作品です。
その他にも、夏休み40日間の朝食を記録し基礎栄養食品群6群がバランス良くとれているかを調べ、考察を加 えている作品。離乳食と幼児の口の中の状態を関連させて調べた作品。恐竜の歯に着目し人間の歯とどのように違うのかを調べた作品。等々、ユニークな作品も 数多く応募されており、会長特別賞とさせてもらいました。特に優れていた5年の優秀作品は、「健康な歯をつくる県民のつどい福井県歯科保健大会」にてパ ワーポイントを用いて発表も行いました。
今回、応募されたどの作品にも、歯の大事さ、食の大切さが述べられており、歯や食に関する啓発活動をこれからもなおいっそう押し進める必要を感じたコンクールでした。
優秀作品は拡大カラーコピーし、福井市全小学校に配布し、展示をして頂きました。
以下、受賞者の皆さんです。
5年優秀賞 附属小 藤澤 智彦君
5年準優秀賞 附属小 小林 菜桜子さん
6年優秀賞 豊小 吉村 一訓君
6年準優秀賞 宝永小 中嶋 文香さん
会長特別賞 和田小4年 小坂 太陽君
清水西小6年 幸坂 和夏さん
宝永小6年 三田村 裕葉さん
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